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2019年11月25日 (月)

祝詞入門 誤謬

 神道への関心が高まり祝詞も注目されるのはよいことです。しかし肝心な点がないがしろにされているようで気掛りです。
 たとえば最近出た文庫本の例文の中に、
「神社本庁より献奉る宇豆の幣帛を平らけく安らけく聞食し大前に奏で奉る歌舞の技をも米具し宇牟加しと見そなはして天皇の大御代を手長の御代の厳御代と斎ひ奉り幸へ奉り給ひ」とありました。
 これを「神社本庁からいただいた幣帛、(お供え物)も奉献させていただきました。そして神前で奉納させていただく歌舞をこころ安らかにお楽しみください。天皇陛下のお治めになられる時世が永遠に続き【手長の御代】、(平穏で)立派な世の中【厳御代】になるように、ご守護いただきたくお祈り申し上げます。」と訳してあります。

 ①どうしたことでしょう「平らけく安らけく聞食し」の訳が見当たりません。1〈平らかに安らかにお聞き届けになり〉
 ➁「斎ひ」を守護とするのは意訳ですが間違いではありません。ただし〈奉り〉を「いただき」としたのはどうでしょう。
 ここは「斎ひ」と「幸へ」を「給ひ」が受ける流れです。そこで〈斎ひ給ひ〉〈幸へ給ひ〉と同じように訳す必要があります。

 1〈守護なさり幸あらせなさり〉
 「奉り」は〈申し〉または〈致し〉と訳し、「給ひ」は〈なさり〉とすべきところでした。つまり御祭神が「斎ひ申し幸へ申しなさり」となるのです。
 ただし神さまが謙遜なさるわけではありません。奏上している神職が御祭神と天皇陛下に敬意を払っているのです。

 《神社本庁より献上する立派な幣帛を平らかに安らかにお聞きとどけになり神前に奏で申す歌舞の技をも愛しい嬉しいとご覧になって天皇陛下の立派な御代を長く続く御代で立派な御代であるようにと守り申し幸多くあらせへ申しなさり》とすべきところでしょう。

 なお「お治めになられる」は〈お~なる〉に現代語の〈れる〉を付けた形で、最高敬語のつもりかも知れませんが違うのではないかと思います。

 右は例祭の祝詞なのですが、末尾に「清き真心以ちて職業に勤しみ励み」とありますが、正しくは「清き真心以ちて負ひ持つ職業に勤しみ励み」とあるのが一般なので、欠落しているのでしょう。

 この本には似たような例がほかにもあるので、書写過程での不注意によるものかも知れません。
 また、この例祭祝詞を「恐(かしこ)み恐(かしこ)みも白(まを)さく」と結んでいます。原文にはありません。「白す」という動詞を「申し上げますことは」と言おうとして用いるのがク語法ですから、文末にこれが来ることはありえません。書写ミスでなければ大変な間違いということになります。

 不注意といえば、この祝詞の末尾にある「幣帛」の注に「日本の竹串などで」とあるのは「二本の竹串などで」の誤植でしょう。

 それから「第二章 祝詞の基礎知識」は解説ですが、二六に「伊勢大神宮遷却祟神」とあるのは誤りで、「伊勢大神宮」と「遷却祟神」の祝詞はまったく別の祭祀のものです。
 どうも基本的な作業に手抜かりがあるようです。                             
                                          〔「神社発信」掲載原稿を改めてあります 〕                                     

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